賃貸トラブル

賃貸トラブル

賃貸借は、その契約成立から終了まで、トラブルの宝庫です。賃料額の問題、賃料不払いの問題、契約期間、更新の問題、用法遵守の問題、賃借権の譲渡や転貸借など、これを規律する法令は多く、裁判例も多数出されています。
物件が営業用か住宅かによっても、考えることが違ってきますし、最近では、シェアハウスやフリーレントなど、いろんな形で賃貸借契約を結ぶことが考えられます。
これから賃貸借を始める方、すでに始めているが、お悩みを抱えている方は、是非一度ご相談ください。

賃貸人:契約書関連


◎賃料はどのように定めたらよいか

賃料は一度契約してしまうと、その契約途中での増額は簡単にできるものではありません。
「空室にしておく期間がもったいない」などの理由で安易に安く設定してしまうと、割に合わない賃料をそのまま続けなければならなくなってしまいます。

賃料トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
賃料は相場だけでなく、経営面の試算までをしっかりと考慮した上で定めるようにしましょう。


◎時期がきたら賃料を増額したいが

もし「時期がきたら増額しよう」と考えている場合は、例えば「〇年後に〇%増額」などのように、賃借人にも分かりやすい形でしっかりと契約書に明記しましょう。
しかし数年先の相場は簡単に読み切れるものでもありませんし、後になってその契約の効力自体を争うことになる場合も少なくありません。
だからよほどの事情がない限りは、上記のような『あらかじめ増額を定めてしまう』という方法は、専門家としてあまりお勧めできません。

賃料トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
このような事前記載を取り入れる際の一例としては、単に増額するのではなく『一定期間を値引きして、それが過ぎた後は相場に戻す』といったケースが挙げられます。この場合は契約書の書き方を専門家目線で念入りに工夫する必要があります。無用な契約トラブルを避けたい方は、何より先に私たち専門家に相談することで適切なアドバイスを得られるでしょう。


◎契約期間の定め方や期間を過ぎた場合の返還方法

賃借の契約期間は『借地は最低30年、借家は最低1年』と法律で定められています。しかし借家の場合、2~3年程度が通例となっているのが現状です。
ここで注意してもらいたいのが『契約期間が過ぎても返してもらえるかどうかは分からない』ということです。返してもらえるケースとしては、賃貸人が自分で使う必要があるとか、建物の老朽化といった、明らかに正当な理由がある場合だけだと考えておくべきでしょう。さらに『立退料』として賃貸人側がお金を支払わなければ退去してもらえないケースも、かなりの割合を占めているのが現状です。

賃料トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
このようなトラブルを未然に防いだ上で、契約期間が過ぎたらすんなりと返して欲しい場合もあるでしょう。
このような場合は『定期借地/借家契約』という、特別な契約書を作成することで対応することができます。

  • 定期借地/借家契約を検討したい方
  • すでに契約中の更新拒否ができるか知りたい方
  • 実際に更新拒否して退去させたいと考えている方

といった契約更新についてお悩みの方は、まずは私たち専門家に一度相談してみましょう。


◎契約を更新する場合に更新料は取れるか

あらかじめ契約書に明記していないと更新料を取ることはできません。その場合も度を越した更新料の契約は無効とされる可能性が高くなるので、適正な範囲内を設定しましょう。
尚、巷で出回っている『よくある契約書の雛形』には更新料の定めが入っていない場合が多いのでご注意ください。

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弁護士<br /> 小野雄大
更新料を契約書に盛り込みたい方は必ずご自身で確認するか、専門家に相談するようにしましょう。
また、更新料の定めをしてあっても、実際に支払いに応じてもらえない場合の対応にも注意が必要です。なぜなら「どこまで請求するべきなのか」や「契約解除まで考慮して対処するのか」など、対応を少し間違えただけで思わぬトラブルに繋がるケースが多いからです。だからまずは「本当に更新料を取ることが妥当なのかどうか」という、契約内容を検討する段階から私たち専門家にご相談いただけると、無用なトラブルを回避するためのご協力ができます。
最も有効な弁護士の活用方法は「問題を解決すること」よりも「問題自体を起こさせないこと」ですから。


◎修繕費を賃借人の負担としたいが

法律上において、建物の修繕は賃貸人が負担することが大前提として定められています。もし賃借人に修繕負担をさせたいのであれば、契約書内で『建物のどの部分をどの程度以上の劣化に対して賃借人負担とする』といった内容を、第三者の目から見ても明らかになるよう表などを使って明記しておく必要があります。
ただし「全ての修繕を賃借人の負担とする」といった一文が無効となるわけではありませんが、だからといって賃貸人が一切負担しなくて良いと判断されないケースも多いので注意が必要です。

賃料トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
修繕負担は主観と主観のぶつかり合いになることが多いため、トラブルにまで発展し得る大きな要因の一つと言えます。信頼できる専門家に相談して、修繕負担も含めた契約書の入念なチェックをしてから事に臨むことを強くお勧めします。


◎禁止事項をどのように定めたらよいか

巷で出回っている『よくある契約書の雛形』に概ねの参考例が載っていますが、同じ賃貸でも事業用か居住用で要点は変わってきます。そのため賃借人の使用目的に沿って禁止事項を定める必要があります。そして違反があった場合への対応も、その違反の重さに応じた定めを入れておくことも大切です。

賃料トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
・・・とは言っても、雛形だけで様々なケースに適した禁止事項を定めることは難しいです。
私たち専門家に相談いただければ、『使用目的・禁止事項・その他の決まり』などを全て考慮した上でのアドバイスをさせていただきます。

家賃滞納


◎家賃を滞納している場合、どのように対応すればよいか

まずはすぐに催促しましょう。
でも口頭や電話で伝えるだけで済ませてしまっては、後のトラブルへの準備としては不十分です。この催促は書面やメールなど、必ず形に残る形にしておきながら進めるようにしてください。
(書面の場合はコピーなどの控えを取っておきましょう)

賃料トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
もし催促の効果が見られない場合はすぐにご相談ください!
賃料の不払いは『内容証明郵便での催促』や『訴訟提起』といった、法的な対応が必要になる可能性が極めて高いトラブルです。相手の勤務先や財産の有無を知っていたとしても、訴訟を起こさなければ差し押さえることもできません。その際に催促の記録が重要となってきます。
「あまりおおごとには・・・」と躊躇していると、その分余計に時間と費用が掛かってしまうということも念頭に置いておくようにしてください。

建物明け渡し


◎賃料滞納者が行方不明なので荷物を撤去したい

賃料未納者が置いていった荷物であったとしても、賃貸人が勝手に撤去することは違法行為となってしまいます。そのため、撤去するには訴訟を起こして裁判所の強制執行という手続きを取らなければなりません。行方不明者に対しても同様で、その場合は公示送達という手続きを使って訴訟を進めることができます。

建物明け渡し
弁護士<br /> 小野雄大
この手続きは専門的なことが多いため、ご本人では対処が難しく、何よりもとてつもなく面倒だと思います。こういった事態になった場合は迷うことなく、専門家である私たち弁護士に全てお任せください。

立ち退き


◎契約期間満了なので退去を求めたい

ただ単に「契約期間が満了したから」という理由だけで退去をさせることはできません。
賃貸人の判断で退去させる場合には、
・建物が古くなりすぎた
・耐震性に問題がある
・賃貸人が自ら使う必要がある
といった、第三者から見ても退去も止むを得ない事情が必要となってきます。
その場合にも賃借人が移転しやすい転居先を探して提案したり、補償のための立退料を支払ったりすることが多いのですが、それでもなかなか上手くいかないケースが多々あります。

立ち退き
弁護士<br /> 小野雄大
自らの判断では無用なトラブルまで発展してしまう可能性も高いため、このようなケースは専門家である弁護士に相談するべきでしょう。弁護士であれば「正当事由をどれだけ満たしているか」や「立退料の出し方」など、裁判例に精通したアドバイスができますし、交渉の代理を行うこともできます。
中には「期間満了の半年前までに通知を出す必要がある」といった手続き面でも注意が必要なこともあるので、立ち退きをご検討されている方はお早めにご相談ください。

家賃交渉(賃料増額請求)


◎賃料が低すぎるので、増額を求めたい

賃借人が了承さえしてくれれば賃料増額はできるのですが、当然のことながらそう簡単に増額の合意などしてもらえるわけがありません。だから賃料の設定には十分な配慮が必要なのです。
一応法律では、賃借人の了承がないとしても第三者から見て賃料が不相当と認められる場合は増額可能と定められています。しかし、その基準に明確なものは無く、よほど極端なケース以外はこの法律が効力を発揮することは無いと思っておきましょう。
それでも強引に推し進めるとした場合、様々なハードルを乗り越えていく必要があります。
具体的には、専門家に依頼し賃料の不動産鑑定を行ったり、賃借人が了承しなければ裁判所に調停を申し立てたり、それでもまとまらなければ訴訟を起こして賃料を決めてもらう必要があります。
とにかくやることが多く、面倒くさいことこの上ないので、途中で「もういいや」となるりかねません。

弁護士<br /> 小野雄大
途中からの増額がどうしても必要な事情があるのであれば、自分でやろうとせず、弁護士に任せるとスムーズです。弁護士であれば不動産鑑定士と連携することで、増額が相当であることの資料をまとめられますし、もし訴訟になった場合もその相当性を主張できます。もしあなたが不相当な賃料を続けていることにお悩みであれば、まずは一度私たち弁護士にご相談ください。

賃借権の譲渡


◎賃借人が、賃借権を譲渡したいと言ってきた

このケースは特に借地の場合に、借地上の建物を売るという形でよく話に上がります。(これを『借地権の譲渡』と言います)
法律上、賃借権の譲渡は賃貸人の承諾が必要とされています。だから「新しい賃借人では困るのだが・・・」などの理由があれば、賃借権の譲渡を承諾しないという選択も可能です。
しかし賃借人としては「それでは困る」といった場合、承諾に代わる許可を裁判所を通して求めることができるので、ただ頑なに拒み続けていると裁判所の手続きに入られるといった可能性も十分に考えられます。
賃借権の譲渡
弁護士<br /> 小野雄大
拒むにしても裁判でも勝ち得る正当な理論武装が必要です。折り合いをつけるために承諾料と引き換えにすることもできます。
交渉は細心の注意と準備をもって臨まなければなりません。もし交渉が難航したり揉めそうであれば、まずは弁護士に一度相談しておくことをお勧めします。

原状回復


◎賃借人が退去する際、どこまで元に戻せるのか

契約が終了した時には、賃借人は原状(賃借する前の状態)に戻す義務があります。しかし使用期間中に古くなった部分(経年劣化)は、賃借人の負担するところではないとされています。
どの程度を経年劣化に相当するのかを賃借人と貸借人の主観だけで判断していると、多くのケースで敷金返還トラブルに発展してしまいます。
原状回復
弁護士<br /> 小野雄大
トラブルに発展してしまった場合はすぐに弁護士に相談して、的確なアドバイスの元で対応しましょう。
しかし敷金クレームが来てから対応を考えればいいという考え方は、無用なトラブルを自ら招いているようなものです。クレームへの対応準備を含め、弁護士によるしっかりとした事前チェックを行っておくことが最善です。

一括貸し又は管理業者任せ


◎所有するマンションに管理業者がいるから安心?

管理業者は日々の管理行為はしてくれますし、賃借人とのトラブルがあった時も最初の窓口役をやってくれます。中には熱心な業者の場合、トラブルの際には間に入ってくれることもあるかもしれません。
しかし、実は法的に管理業者という立場は、賃貸人の代理として賃借人とのトラブルに対する交渉を行ってはいけないことになっています。このような行為は法律上、弁護士だけにしか許されていないのです。

売買トラブル
弁護士<br /> 小野雄大
だからと言って簡単に済むような内容であれば、いちいち弁護士に代理交渉をさせる必要はないでしょう。
しかし内容によっては管理業者として「これ以上は交渉に入れない」となったとしても無理からぬことです。そのような場合に後手を踏むことで損をすることも十分にあり得ますので、トラブル交渉は最初から弁護士に任せるのが得策です。それが費用面で難しいとしても、いざという時にすぐに動いてくれるような信頼に足る弁護士と契約しておくことは必須だとお考えください。


◎建物を業者に一括借り上げ&賃料保証されているが、賃借人とのトラブルを抱える心配はない?

確かに『一括借り上げ』であれば賃料は常に保証されますし、個々の賃借人との契約当事者は一括借り上げ業者ですから、大家さん自身が細かい対応に煩わされることがないというメリットがあります。
一括貸し又は管理業者任せ
弁護士<br /> 小野雄大
だからといって「これ幸い」と安易に契約してはいけません!家賃保証といってもどの程度のものか確認が必要ですし、法律上でも減額の余地はありますし、免責期間が設けられているかどうかのチェックなどもするべきです。くまなくチェックしないと、一括借り上げ業者側にばかり有利な契約条項になっている可能性も十分に考えられます。
安易な契約で将来的に様々な損失を被るケースは決して他人事ではありません。細心の注意と専門的見地からの検証が必要不可欠ですので、必ず契約前に弁護士などの第三者である専門家に相談しましょう。

シェアハウス


◎シェアハウスとはどのようなものか

複数人で一つの住宅を共同使用する最近流行りのシェアハウスですが、一言でシェアハウスといってもその形態は様々です。
代表的な形態は

  • 各賃借人と大家が個々に賃貸借契約を結ぶ。
  • 寝室などの単独で使用する個室がある。
  • キッチン・リビング・トイレ・風呂などの生活空間は共同で使用する。

中にはスポーツジムやシアタールームが併設され、リビング以外の生活環境は全て個々に与えられている高級シェアハウスも出てきました。

シェアハウス
弁護士<br /> 小野雄大
シェアハウスは入居者にとっては賃料&初期費用が抑えられて居住者同士の交流ができること、大家さんにとっては空き家対策になるなど、お互いとってのメリットがあります。これらの相互メリットが注目を浴び、今では首都圏を中心に広がりを見せています。


◎シェアハウスの法規制について

広がりを見せているシェアハウス業界ですが、現在はまだシェアハウス特有の法規制はありません。
そのため今はまだ大家さんは自分の身は自分で守らねばならないため、参入をお考えの方は正しい知識を身に付けるようにしましょう。
シェアハウス
弁護士<br /> 小野雄大
すでに様々な問題が表面化しています。
例えば倉庫やオフィスの名目で賃借した小さな部屋をあてがうだけの「脱法ハウス」で、借地借家法や建築基準法等の規制を受ける場合があります。他にも短期契約による旅館業法の適用にも注意が必要です。
シェアハウスは短期の定期借家契約をすることが多いのですが、あまりにも短期(1ヵ月未満)で代わる代わる何人もの人に貸すことになるとホテル等と同様に見なされるため、フロントの設置などの営業許可を受けるにあたっての規制を受けることになってしまいます。
大家さんとしても魅力を感じるシェアハウスですが、参入を検討する際は必ず弁護士に相談して、システムや契約事項などの事前対策は万全を期することが必須だとお考えください。


◎シェアハウスにおけるトラブルを回避するためには

シェアハウスは基本的な生活空間を共有することになるため、共有部分でのルールを明確化して、それをしっかりと契約書に記載することが大切です。
入居者のお客さんに共用部分を利用させて良いのか、女性限定の物件で男性を泊めても良いかなど、様々なシチュエーションを想定して、あらゆるトラブルを回避できるような規約を契約書に明記しましょう。
複数人が同居するのですから、細かなルールまで多過ぎるくらいに想定しておくべきです。

シェアハウス
弁護士<br /> 小野雄大
せっかくしっかりとルールを作り込んだとしても、それを守ってもらえなかったら元も子もありません。
シェアハウスにおける入居時のルール順守への審査は、通常の賃貸借以上に重要になってくるでしょう。


◎賃貸していた物件を勝手にシェアハウス事業に利用された

住居だけでなくオフィスや倉庫でもあり得るため、このケースは非常に多いので注意が必要です。
大家さんとのシェアハウス契約をしないで転貸しているのですから、これはれっきとした違法行為にあたります。

シェアハウス
弁護士<br /> 小野雄大
このような無断転貸が発覚した場合、大家さんの判断だけで賃貸借契約を解除することができます。物件を勝手に改造されているケースもありますが、こういった行為も用法順守義務違反にあたりますので、当然ながら原状回復を求めることができます。
しかし相手はこのような違法行為をする側なので、さらなるトラブルに発展する可能性も十分にあり得ます。何かあってからでは遅いので、必ず弁護士を介して対処するようにしましょう。

不動産に強い弁護士をお探しの方 大宮パートナーズ法律事務所 弁護士 小野 雄大